平岡先生の講演

  あえて「先生」と呼ばさせていただきます。いうもでもなく「ライブの神様」です。今回の講演は「炭素工具鋼の素晴らしさとその作り方」ということでした。それは驚愕すべき内容でした。炭素工具鋼(SK)と高速度鋼(HSS)と超硬を比較検討し、模型工作に最も適しているのは炭素工具鋼と力説されたのです。HSSは切削効率を高める為に高速での切削を可能としたに過ぎず、切れ味、鋭さはSKが優れているということでした。すなわちきちんと熱処理されたSKは HSSより硬いのだそうです。超硬は刃先の鋭さは全くダメで、単に切削時の耐熱性に優れているに過ぎず、切れ味は全くダメだそうです。自分は良く研いだHSSが一番切れると思っていただけに、驚きました。結局SKの極致である日本刀ほど切れる刃物は無いそうです。その後、それでは数多いSK鋼で模型製作にはどれが良いか?という質問に「SK4で十分でしょう。ドリルロッドを熱処理してさまざまな刃物に加工出来れば模型工作としては最高でしょう」ということでした。とても感銘深く拝聴し、様々な切削工具を考えています。平岡氏に言わせれば、模型の車輪の切削は「総型バイト」が一番との事でした。電気炉がありますので800度の焼き入れから200度の焼き戻しまで全て出来ます。今後は炭素工具鋼の勉強が必要です。平岡先生はあのスキュードベベルを炭素工具鋼のバイトでステンレス材から削り出したのですから、敬服するしかありません。