平岡氏の講演

  集会は運転あり、牽引力測定あり、作品展示あり、ショップありと盛りだくさんでした。しかし白眉は午後1時からの平岡氏の講演。この1時間は濃いひとときでした。
  氏はライブのK-27の製作を例に、ライブスチームの設計の考え方、そして鉄道模型のジャンルには格差は無く、それぞれの行き方で素晴らしいと、理解を示され、しかし鉄道模型の本質は動く事であり、そのために実物を単に縮小するのではなく、工学的、力学的にきちんと動く模型のために各所を変更することになる、例えばこのライブではシリンダー径は実物通りでは太すぎるので、内腔は細くする、あるいは煙管の数を100本余りから10本にする、ボイラは少し小さめで構わない等と言った変更が必要になる。そこに外観と性能との折り合いをつける必要が出て来る、そしてなるべく構造は簡単にして、分解、手入れ、修理がし易い様に、そして人が乗るのであるから人が乗れるような形態にする等と言うライブの基礎を話されました。質問も色々ありましたが、一番印象に残っていたのは、ライブスチームという分野が始められてから今日迄、世界の何処でも未だに爆発事故は起きていないという事です。ですから、ライブスチームに限っては、国家資格とかボイラー整備士の資格は不要なのだそうです。
  その他ネジのお話も面白かったし、K-27のKはMikadoからきていること、じゃあなぜMではなくKなのか?というと、米国の言語ではアクセントはKにくるので「ミケイドウ」という発音になり、最初のミは殆ど聞こえず「ケイドウ、ケイドウ」という発音になるので、Kとなったのだそうです、Cはたしかコンソリですが、Kがそこからくることは今迄知りませんでした。この機関車が納入時ボークレイン複式であった事、その後スライドバルブ、ピストンバルブに暫時改造されていった事、しかし改造を重ねてそのプロポーーションはますます良くなった希有な例である事等、興味深いお話でした。
  後日談になりますが、平岡氏が模型人に講演するのは初めてだそうで、本当に有難いことでした。
  画像を載せたい所ですが、許諾を得ていないので、割愛します。無事集会が終わり、懇親会で美味しいお酒をいただきました。