シェイに挑戦(43)伸縮ジョイントの絶縁

  台車に取り付ける部分から作っています。左が絶縁ジョイント。

  絶縁部分はPOMで、0.05の公差で圧入しています。ラインシャフトの径はφ1.0なので、φ0.95のキリで孔をあけました。これできっちり差し込めます。

  さてトーマさんのシェイキットが到着しました。ワクワクしながら部品チェック、そして唸りました。このキットは基本的には乗工社の製品をベースに改良を加えたものと考えて間違いは無さそうです。ラインシャフトの処理や簡易バルブギヤの造作、そして、伝動方法は殆どそのまま踏襲されています。違うのは2点、クランクが動く事と、台車の1軸のみ、合計2軸駆動となっている点です。
  台車の1軸駆動は、トーマさんなりの結論だと思います。全軸駆動にこだわって、沢山のギヤを使う事で、どうしても不具合が生じてしまう、それを避けたのでしょう。アマチュアの勝手な言い分ですが、全軸駆動にも出来るようになっていれば更に良かったと思いますが、これは言いがかりに近い話ですね。
  クランクの中間にコネクティングロッドが省略されている事に初めて気づきました。確かに走っている事には目立ちません。思い切って省略する事で工作は極めて容易になり、トラブルも回避出来るでしょう。コンのようにハンダが緩んで悲劇なんていうことも無いわけです。そして、このことに全く気づかなかった、動画等も見ていましたがコネクティングロッドが省かれているのは見抜けませんでした。設計者の勝利です。見事な「黒子の思想」です。
  ロスト部品は極めて精緻で、実に見事でした。原型製作の苦労が偲ばれます。
  以上持ち上げた所で、へそまがりのモデラーのコメントとなります。この製品では、ラインシャフトはギヤの数だけ回転して初めて動輪が1回転します。ラインシャフトは2回転で動輪1回転ではありません。つまりラインシャフトが早く回り過ぎます。そんなこと、あたりまえでしょうけれど、へそ曲がりの人間には気になります。ラインシャフトの回転数を落とす事が出来れば、あえてベベルギヤ駆動にこだわらなくてもシェイらしくなるでしょう。ということは、コンはもしかしてトーマシェイにはベベルは組み込まず、ラインシャフトの回転を落とす方策で作るかもしれません。もちろん4軸駆動にしますけれど。
  ボイラーが挽き物です。ということはボイラーにモータを入れづらいわけです。さて、どうしましょうか?乗工社のボイラーにはLIMAの銘板がありましたが、今回はどうでしょう?このあたりも責め何処かもしれません。
  コンが今作っているのは、いろいろ煽られまして、ベベルギヤ伝動、伸縮ジョイント付きのラインシャフト、バルブギヤは前進位置でのフルギヤ、コネクティングロッドもクロスヘッドも組み込み、何か凝り固まった病的なシェイになりそうです。結局凝り過ぎて走らない、なんて事になりかねない。何を言いたいかと言うと、トーマさんのシェイは作り易さ、良く走る事を優先に、様々なこだわりを捨てて、誰でも調子良く走るシェイを作れるようにする為に、切る所、省く所をあえて呑んで製品化した、そのご苦労を多と感じます。コンのような偏屈なモデラーには素組なんて期待出来ないから、いいようにいじられだろうな、と思ってください。今日届いたキットを広げて、また違う料理を考えています。トーマさん、ごめんなさいね!