置きハンダ

  コンの勘違いが元で、お騒がせしましてすみません。Dさんのハンダ付けの基本は「置きハンダ付け」であり、ハンダの小片をフラックスを塗ったワークに置き、鏝で加熱すると言う技法でした。その際、飽和塩化亜鉛溶液をフラックスに使用すれば、フラックスの沸点はハンダの融点を上回るのでフラックスが撥ねずにハンダ付け出来ると言うのが主旨でした。思えば、米国ではバーナーや炭素棒等によるハンダ付けが主流で、ハンダ鏝は配線くらいしか使わないという話を聞きました。するとハンダ鏝にハンダを載せてフラックスを塗ったワークに押し付ける技法は日本独特のものであり、「ハンダ付け文化の違い」ということかもしれません。
  さて、飽和塩化亜鉛の溶液は放置していたら徐々に白濁は取れました。ちなみに瓶を含めた重量は85gでした。同じ瓶の重さは50gですので、内容物の重さは35gです。そして注射器で容量をはかると16ccでした。すなわち飽和塩化亜鉛溶液は比重が2ちょいあることになります。でも100ccの水に400g近く融けるのだからおかしいんじゃない?という議論もありますが。溶質、溶媒の問題で100ccの水に400gの溶質を溶かし込めば、全体の容量は200ccを越えると思います。ざっくり、飽和塩化亜鉛溶液の比重は2ちょいと推察しました。

  幸い手元にはエコーモデルのφ0.5のハンダがありましたので、これをカットして「置きハンダ」をしてみました。フォーニィの炭水部分の仕切りはフレアーにしたので作り直してです。古典機のように仕切り板を自作し、ついでにアングルで補強も表現して、炭水部分にハンダ付けしました。具体的にはワークを例のピンセットで固定し、カットした糸ハンダを接続部に置き、飽和塩化亜鉛を塗って裏から100Wのハンダ鏝を当てました。驚いた事にジュッと言わずに静かにハンダが流れました。

これがDさんのいうハンダ付けだったのです。綺麗に流れます。これで、飽和塩化亜鉛フラックスのハンダ付けの要領が少しわかってきました。日本のハンダ付けの歴史の中で、このような事は多分一度も言われた事は無く、多くの模型人は塩化亜鉛を適当に薄めてジュッとやっていたわけで、一つの革命かもしれません。ともかく置きハンダ付けで、鏝で加熱するにせよ、バーナーや炭素棒で加熱するにせよ、飽和塩化亜鉛溶液を使うとフラックスは撥ねる事無くハンダ付け出来るということを本日了解しました。Dさん、ありがとうございます!